私は過去に、業界最大手と言われる某建築メーカーに勤務しており、優秀営業賞をとったり、支店トップセールスになったりという成績を残したことをいいことに、それを引きずってこのような記事を書いているのですが、たまには皆様の為になろうかとキーボードをカタカタしております。
今回の議題はタイトルの通り、「不動産営業マンのお客さんへの立ち回りトーク集」ということで、不動産営業マンは「こんなこと考えながら仕事してるよ~」みたいなことを共有します。
現在、集合住宅の建築を検討中で提案を受けている方には多少参考になるかもしれないのでお見逃しなく。。。
【提案前】不動産営業マンの立ち回りトーク ~飛び込み訪問編~
地主様や資産をお持ちの方はあるあるかもしれませんが、営業マンって急に飛び込み訪問してきますよね。
「なぜ自分が土地を持っていたり、投資を検討しているのかわかるの?」って思った方いませんか?
あれはですね、事務所でそのエリアの集合住宅が建築可能な土地をすべて調べ上げているからなんです。
営業がきて、自分の土地がどこに何坪あるかすべて把握されていてびっくりしたことはないですか?
それもそういうことなんです。。。
たまに、家が大きいから(金融資産は持っていることが濃厚なので)当てずっぽうで訪問してみたりもあったりしますが、だいたいは遊休地があることに確信をもって訪問しています。
なので、「ご所有のお土地の件で参りました~」というトーク開始に対し、持ってないふりなどは通用しません。
営業されるのが嫌なのであれば、「投資する意思がないので二度と訪問しないでください」という旨を伝える必要があります。
それでも、来るのですが…
あと、営業しに来る際は、営業マンによっては、相続税などの税金がどれくらいかかりそうか試算の上、訪問したりします。
すでに頭の中には、「これぐらいの税金がかかるだろうから、これくらい借金を負わせた方がいい」みたいなことを考えています。
そこから逆算して何世帯の集合住宅を建てるべきなのか理由づけしているのです。
仮に面積が小さく、それだけでは節税しきれないことが分かっていても、とりあえず既存の土地で契約させ、残った分に対しての土地を用意して再提案を行ったりします。
大手の営業マンは結構賢いですから、そもそも建てる気がないのであれば早い段階で断らなければ、「話を聞いてもらえる」と勘違いしてしつこい訪問を受けます。(不動産の営業活動においては基本ものすごく煙たがられます。)
【提案前】不動産営業マンの立ち回りトーク ~電話編~
いきなり電話がかかってくるってこともありますよね~
あれもびっくりしますよね~
なれてる人であれば、「〇〇株式会社の…」って言った時点で「ガチャ…」って切られちゃうのですが笑
電話の場合は、謄本を取得し、記載の住所から電話番号を検索できるサービスがあるのですが、それを使って電話してきています。
この場合も、飛び込み訪問同様で土地の所在や資産背景はばれている可能性が極めて高いです。
しかし、この電話も当てずっぽうというかもはや、宝くじ感覚の営業マンもいて、タウンページをみて手当たり次第にとりあえず電話をかけまくる人もいます。
たまに、土地もってないのに電話がかかってきたりするのはそのせいでしょう。。。
このタイプの営業は100件かけて2~3件話を聞いてくれる人がいればいいというダメ元戦法ですので、建築意思がない場合はばんばん断っちゃっていいです。
営業側も特にトークなどは用意しておらず、話せる人にはその電話でアポを取ってきます。
で、実際に会って、深い話をしてくるのです。
【提案前】不動産営業マンの立ち回りトーク ~DM編~
DMにトークも何もないですが、、、
DMの場合は飛び込み訪問用に調べ上げた謄本をリスト化し、セミナーや見学会などがある際に一斉に送信します。
DMも客層を選定せず、エリアの土地を持つ方全てに配る可能性が高いです。
訪問は来てないけど、DMは来た場合、集合住宅の建築は難しいと判断されていることが多いです。
しかしその場合、戸建て住宅や戸建て借家なら建築が可能として判断されており、そもそも提案客ではないがイベントに参加した際は、戸建て住宅部門に振ろうとか考えています。
また、イベントの開催は不動産会社がそれなりの費用をかけて行っているので、上司から集客活動を徹底されます。
何人以上は必ず動員しろというように上司から圧をかけられわけです。
つまりは、サクラとしてターゲットにされている可能性があります。
【提案中】不動産営業マンの立ち回りトーク ~前半戦~
提案の前半での立ち回りとしては
・家族は何人か
・趣味は何か
・何の仕事をしているか
・競合はいるか
ざっくりこのあたりをおさえにきます。
何でもない世間話を切り口に巧みに情報収集します。
「気付いたら全部しゃべってたー!」ってことは結構普通にあるのであまり気にしないでいいのですが、これ全部意味があって聞いています。
どういう意味があるかは下記の通り。
家族は何人か
これは相続税の計算の為ですね。
細かい話はしませんが、家族構成によってかかる相続税が変わってきます。
ですので、そもそも税金がかからない人に提案しても理由づけにならないので、かからない人にはかからない人用の提案を用意しなけれないけないのです。
税金がかかる人の場合は、「これだけ税金がかかるからこれぐらいの建物を建築したほうがいい」という内容のトークで、かからない人へは、「年金対策にやりましょう」だったり、「これからどんどん建築費は高騰しますし、消費税も上がるかもしれない」という内容がベタですね。
あとは「うちの管理会社(グループ会社)がこのあたりのエリアは空室がないので、ぜひ建築にご協力いただきたいと言っておりまして…」的なやつ。
この場合は、本当に空室がないのかデータを提出してもらいましょう。
ただ、そのデータが本当であったとしても、そのエリアに空室がないのであれば、他社にもほぼ同じことが言えるので、長い目で見たときに結局、そのエリアに集合住宅が増え、競合が増えるというのがオチです。
趣味は何か
これはあまり営業においては関係性が低いのかもしれませんが、いわゆる「信頼構築」の為です。
どこかに旅行に出かけたりしたときに、お土産を買ってきたり、例えば、ゴルフが好きなのであれば、休みの日に接待したりなど。。。
仕事の話はほとんどせず、お客様の趣味に付き合うことに徹する営業マンもいます。
この手法はもし仮にその後契約となれば、根強い顧客になる可能性があり、40代の「飛び込み訪問は疲れた世代」の営業マンが良く使います。
何の仕事をしているか
これは大体の年収を予測するためです。
また、「公務員であれば融資に強い」など、ざっくりと職種でお客さんになりえるかを判断しています。
現在では不動産融資の取り締まりも厳しくなり、通りづらくなっているので、そもそも融資が通らない人を相手にしないためにも初期段階で聞いてきます。
競合はいるか
これは、ファーストプレゼンでの価格設定をするためと、どの規模の提案をするかを決めるためです。
競合がいれば、初期提案から詰めた原価率で提案してきますが、競合がいなければ、余裕を持った原価率で提案します。
他の記事でも書きましたが、集合住宅の値引き交渉は100%成功します。
それだけ余裕をもった提案をしてくるので、競合はいなくてもいると言ったほうがいいです。
【提案中】不動産営業マンの立ち回りトーク ~後半戦~
後半戦に突入するということは、営業マンからすると、ある程度土台に乗った契約の可能性が高いお客さんという判断になっています。
このフェーズにいるお客さんは少数派の為、営業マンはかなり時間を割いています。
ここでのトークはこんな感じ
・懸念点の把握
・建築するメリットの共感
・建築後の幸福を想像させる
懸念点の把握
なぜ建築をすることに躊躇しているのか、どこに迷っているのかを把握してきます。
そして、次のアポイントでその懸念点をすべてつぶしてきます。
次の「建築するメリットの共感」につながってくるのですが、その懸念点をつぶしたうえで、「こんなメリットがあると」打ってでてくるので、提案を受ける側からしたら、「お~」みたいになりますよね。。
しかも、しっかりその段階で値引きまで入れるので、もう心つかまれちゃいます。
建築するメリットの共感
ここがかなり大々的にお話しする部分でしょうか。
節金、不労所得、今建てることの重要性、融資などありとあらゆる話で建築のメリットを伝えてきます。
へたくそな営業マンはこの話しかしないんですが、うまい営業マンは時間をかけて、どうでもいい話の中にこのような話を盛り込むので、営業されている感がないんです。
いつの間にか「アパート経営って良いんだあ」てなってるので、ある種の洗脳です。笑
建築後の幸福を想像させる
きわめつけに建築後の幸せを訴えかけられます。
もし建築をしたら、銀行員からも一目置かれて~、不動産屋からも一目置かれて~、不動産のオーナーということで一目置かれて~
まあこんな話しませんが、今までお金にならなかった土地(遊休地)をお金を生み出す土地に変えれることで寝てても入る不労所得がどれだけ幸せなものか。
的な。
節税もできるし、社会的評価も高まるし、
的な。
もちろんこんないやらしい話を直接的にするわけではありませんが、匂わせる感じですね。
そこでどんな反応をするかを営業マンはみています。
まとめ
勘違いしていただきたくないんが、不動産営業マンが悪だと言っているわけではありません。
しかし、営業マンのしつこい営業が迷惑だと思っている方は大勢います。
それに宅地建物取引主任士のテストでも出
てくるのですが、
宅地建物取引業法において
宅地建物取引業者等の勧誘行為については相手方を困惑させること
勧誘に先立って宅地建物取引業者の称号または名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに勧誘を行うこと
相手方が契約を締結しない旨の意思を表示した場合の再勧誘
迷惑を覚えさせるような時間の電話又は訪問による勧誘
が禁止されています。
ですが、このようなケースは日常的にあるので、ひどい場合は消費者センター等に相談するのも手です。
補足で多少裏話ですが、大手企業の上の方の営業マンやずる賢い営業マンは、契約すると社内でインセンティブも与えられるのですが、
あえて、契約したお客様を融通の効く不動産会社からの紹介ということにして、紹介料を企業から不動産会社に払わせ、口裏を合わせて不動産会社からバックをもらっている営業マンもいます。
もちろんその紹介料の分は契約したお客様の建築費に上乗せされているので、契約する際は注意が必要です。
最後に、何度もくどいようですが不動産投資自体はいいものです。
不動産投資はやめたほうがいいと言っているわけではないので、付き合う会社、営業マンを考えて、投資するようにしましょう。